イソプロピルアルコール
91〜99%のイソプロピルアルコールは、流し込んだばかりの石けんに霧吹きすると表面の気泡を消し、MPソープの層同士をくっつきやすくします。ソーダアッシュを防ぐ目的でも広く使われています。引火性が高いので、火や熱い面から十分に離してスプレーします。
- H225 Highly flammable liquid and vapour
- H319 Causes serious eye irritation
- H336 May cause drowsiness or dizziness
Harmonised classification in Annex VI of Regulation (EC) No 1272/2008 (CLP), index number 603-117-00-0.
識別情報
Isopropyl Alcohol
- 化学式
- C3H8O
- CAS
- 67-63-0
- EC
- 200-661-7
- 別名
- isopropanol, propan-2-ol, IPA, rubbing alcohol
ガイド
スプレーする理由
コールドプロセスの石けんでは、流し込んだ直後にスプレーします。Anne-Marie FaiolaのSoap Craftingでは、最初の90分間、30分ごとに計三回、表面に91%のイソプロピルアルコールを霧吹きし、うっすら白く出るソーダアッシュを防ぐための任意の手順としています。後の著書Pure Soapmakingでは99%を使い、アルコールが石けんと空気の間に膜を作ると述べています。マイカをはたいた表面やハーブを散らした表面には、べちゃっとなるのでスプレーしません。
MPソープでは、すぐに目に見える役目を二つ果たします。David Fisherは流し込んだばかりのソープベースにスプレーして表面の気泡を消し、固まった層にも毎回スプレーしてから、約54.5°C(130°F)で次の層を流し込み、層同士がくっつくようにしています。
濃度が大事なのは、残りが水だからです。Faiolaは、91%のアルコールは一般的な消毒用アルコール(ラビングアルコール)の多くとは違うと指摘しています。両者はたいてい並べて売られています。ラベルにイソプロピルアルコールまたは2-プロパノールと書かれ、濃度が91%以上のものを選んでください。
根拠から言えること
気泡と層については、効果はすぐに表れ、目で見てわかります。ソーダアッシュについては、根拠は測定ではなく経験です。スプレーは広く使われ、効くという報告も多いのですが、対照試験は私たちの知る限りなく、どう効くのかもわかっていません。Faiolaの膜という説明はもっともらしいものの、検証されていません。はっきりした理由のある対策は、表面を覆って未反応の苛性ソーダに二酸化炭素を近づけないことと、型の中の石けんを保温して苛性ソーダを早く使い切らせることです。ソーダアッシュのガイドでは、これらを並べて比べています。
一度できたソーダアッシュは、アルコールでは取れません。ソーダアッシュは炭酸ナトリウムで、水にはよく溶けますがアルコールには溶けないため、蒸気を当てるかさっとすすげば取れますが、アルコールのスプレーでは取れません。
火災と蒸気
イソプロピルアルコールは引火性が高く、EUの調和分類ではH225です。引火点は約12°C(NIOSH)なので、室温では常に引火するのに十分な蒸気を出しており、空気中で2〜12%の混合気は燃えます(国際化学物質安全性カード)。蒸気は空気の約二倍の重さがあるため、作業台の上や床を伝って、ガスコンロ、種火、キャンドル、ヒーターのほうへ広がります。これらすべてから十分に離してスプレーし、温かいオーブンの中や、これからオーブンに入れる石けんには絶対にスプレーしないでください。使わないときはボトルを閉めておいてください。
同じ分類には、H319(強い眼刺激)と、蒸気による眠気またはめまいのH336も挙げられています。窓を開け、顔から離してスプレーし、霧は軽くかける程度にしてください。仕上げの一吹きであって、浸すものではありません。目に入ったら、多量の水で数分間すすいでください。
涼しい場所で、しっかり蓋を閉め、熱から離して、ラベルを貼ったボトルに入れ、子どもの手の届かないところに保管してください。棚に置いた無色透明の液体のスプレーボトルは、水に見えます。
エタノールとは別物
透明石けんは、石けんをグリセリンと砂糖とともにエタノールに溶かして作りますが、そこでは二つのアルコールは置き換えられません。Catherine Failorはエタノールの四分の一から三分の一だけを、しかも99%のものに限ってイソプロピルアルコールに置き換えています。イソプロピルアルコールは石けんを溶かす力が弱く、仕上がりの透明度が下がり、臭いもあるからです。どちらかが安全なアルコールというわけでもありません。引火点はエタノールが13°C、イソプロピルアルコールが12°Cです。作り方と火災への注意は、透明石けんのガイドで扱っています。
出典
各数値の根拠となる引用と各出典の注記は、英語のページに出典の原文のまま掲載しています。翻訳した引用は元の文書と照合できないためです。
- Regulation (EC) No 1272/2008 on classification, labelling and packaging of substances and mixtures (CLP) , European Union (2008)
- Isopropyl alcohol (CID 3776) , PubChem, US National Library of Medicine
- NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards: Isopropyl alcohol , US National Institute for Occupational Safety and Health
- NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards: Ethyl alcohol , US National Institute for Occupational Safety and Health
- International Chemical Safety Card 0554: Isopropyl alcohol , ILO and WHO (2020)
- Soap Crafting , Anne-Marie Faiola, Storey Publishing (2013)
- Pure Soapmaking , Anne-Marie Faiola, Storey Publishing (2016)
- The Complete Photo Guide to Soap Making , David Fisher, Creative Publishing International (2018)
- Making Transparent Soap , Catherine Failor, Storey Publishing (2000)
- Commission Regulation (EU) No 231/2012 laying down specifications for food additives: E 500 (i) Sodium carbonate , European Union (2012)