要点
- 材料はすべて、支払った価格で重さから原価を出します。使ったグラム数×価格÷パッケージのグラム数です。苛性ソーダも水も香料も、すべて数えます。
- 包装費、自分の作業時間、間接費の一部を加え、型に入る個数ではなく、売れる個数で割ります。
- 利益率は利益を価格に対する割合で、マークアップ率は利益を原価に対する割合で表したものです。利益率50%はマークアップ率100%です。
- フランス語では逆になります。taux de margeは英語のmarkup(マークアップ率)、taux de marqueは英語のmargin(利益率)です。
- 卸売で原価を倍にし、小売でさらに倍にする習慣は、自分と店が利益をどう分けるかを示しているだけです。原価についても市場についても何も語らないので、その両方と照らし合わせてください。
このページの内容
石けんの価格設定は、予想のつく二つの形で失敗します。原価に入れ漏れがある(多いのは作り手自身の時間)か、価格が利益率をねらいながらマークアップ率で計算されているかです。このガイドでは、実際のバッチ一つの原価を原価計算ツールで一行ずつ出し、そのうえで利益率、マークアップ率、昔ながらの倍にするルールが、それぞれそのバッチにとって何を意味するかを示します。
原価に含めるもの
バッチの原価に入るものは四つです。材料、包装、自分の時間、そして一つのバッチで使い切るわけではないものの、どのバッチにも必要な間接費の一部です。
材料は重さで
石けんは重さで作るので、原価も重さで出します。各材料のバッチ中の原価は、使ったグラム数に支払った価格を掛け、購入したパッケージのグラム数で割ったものです。油をリットル単位で売る仕入先は、ラベルか請求書に正味重量を記載しています。その数値を使ってください。油一リットルは一キログラムより軽く、レシピはグラムで書かれているからです。
例のバッチは、オリーブオイル70%とココナッツオイル30%、油脂1000 g、スーパーファット5%で、ラベンダー精油を油脂の3%加えて香りをつけます。
| 材料 | バッチ中の量 | 支払った価格 | バッチ中の原価 |
|---|---|---|---|
| オリーブオイル | 700 g | 1 kgで9.50 | 6.65 |
| ココナッツオイル | 300 g | 1 kgで7.00 | 2.10 |
| 水酸化ナトリウム | 142.2 g | 1 kgで6.00 | 0.85 |
| 水 | 288.7 g | 水道水 | 0.00 |
| ラベンダー精油 | 30 g | 250 gで18.00 | 2.16 |
| 材料 | 1460.9 g | 11.76 |
苛性ソーダと水は、苛性ソーダ濃度33%でこのレシピを苛性ソーダ計算ツールにかけたときの値です。価格は特定の通貨によらない切りのいい例です。自分の請求書にある価格を使ってください。
三つの行は、もう一度見ておく価値があります。苛性ソーダは安価ですが、それでも数えます。水道水はほぼ無料と言ってかまいませんが、蒸留水やボトル入りの水はそうではないので、使うなら表に入れます。そして精油は、型に入れたものの2%なのに、材料費の18%を占めます。キログラムあたり72で、バッチの中でずば抜けて高価なものです。
包装
石けんと一緒に出ていくものすべてです。包装紙や箱、帯、ラベル、シール。一個あたりで原価を出します。例では一個あたり0.60、バッチで6.00としています。
自分の時間
計量から包装まで、バッチ全体の作業時間を分単位で数え、同じ作業を他人に頼むなら払う時給で計算します。これを省くと、使った時間が無料として数えられるので、利益率は実際よりよく見えます。Alicia Grossoの経験では、ほとんどの作り手は最初のマーケットでは利益が出ず、二回目でも出ない人が多く、売上はたいてい材料費をまかなうだけです。熟成には何週間もかかりますが、手間はかかりません。かかるのは棚のスペースで、これは間接費です。例のバッチは作業に90分かかり、時給15.00で22.50です。
間接費
家賃、保険、マーケットの出店料、ウェブサイト、電気代、使い古したハンドブレンダー。これを負担させるもっとも単純で誠実な方法は、直接費に対する割合にすることです。前年の間接費を、前年の材料費・包装費・人件費の支出で割り、その割合を各バッチに上乗せします。これは単純化であり、測った年と同じ程度にしか正確ではなく、作る石けんの量が増えたり減ったりすれば変わります。例では10%を使います。
売れる個数で割る
最後の数字は、もっとも都合よく見せやすいものです。型に入る個数ではなく、実際に売れる個数で割ります。切り落とした端、バッチのサンプルとして取っておく石けん、自分のシャワーで試す石けんは除きます。例のバッチで売れるのは10個です。
| バッチあたり | 一個あたり | 原価に占める割合 | |
|---|---|---|---|
| 材料費 | 11.76 | 1.18 | 26.6% |
| 包装費 | 6.00 | 0.60 | 13.5% |
| 人件費 | 22.50 | 2.25 | 50.8% |
| 間接費(10%) | 4.03 | 0.40 | 9.1% |
| 合計 | 44.29 | 4.43 | 100% |
同じバッチを原価計算ツールで計算したものです。この石けんの原価の半分は作り手の時間なので、オイルと包装をまかなうだけの価格では、石けんを作る手間には何も支払われません。
自分のバッチの原価を計算する。苛性ソーダ計算ツールでレシピを作り(このレシピでは水酸化ナトリウム142.2 gが必要です)、「このバッチの原価を計算」を押すと、すべての重さが原価計算ツールに引き継がれます。
計算ツールで開く利益率とマークアップ率
価格は原価を利益に変えます。その利益をパーセントで表す方法は二つあります。どちらも同じ販売を異なる基準で表したもので、取り違えると安すぎる価格をつけやすくなります。
- 利益率(マージン)は、利益を価格に対する割合で表したものです。
- マークアップ率は、利益を原価に対する割合で表したものです。
例の石けんを6.00で売ると、利益は1.57です。価格6.00に対する割合では利益率26.2%、原価4.43に対する割合ではマークアップ率35.5%です。一つの販売に、二つの数字があります。
落とし穴はこうです。利益率50%がほしいと決めて原価に50%を上乗せすると、価格は6.64になります。これはマークアップ率50%で、利益率はわずか33%です。利益は予定した4.43ではなく一個あたり2.21、つまり半分です。目標の利益率から価格を決めるには、原価を、一から利益率を引いた値で割ります。利益率50%なら、4.43 ÷ (1 − 0.50) = 8.86です。
| 利益率 | 同じ販売をマークアップ率で表すと |
|---|---|
| 20% | 25% |
| 25% | 33% |
| 33% | 50% |
| 40% | 67% |
| 50% | 100% |
| 60% | 150% |
| 75% | 300% |
マークアップ率 = 利益率 ÷ (1 − 利益率)。50%を超えるとマークアップ率は利益率からどんどん離れていきます。この二つの言葉を決して取り違えてはいけないのはそのためです。
フランス語の用語は逆
フランスのビジネス用語は英語と鏡写しになっていて、両方の言語で仕事をする人をつまずかせます。taux de margeは、マージン(金額で表した利益)を原価で割るので、英語でいうmarkup(マークアップ率)にあたります。taux de marqueは付加価値税抜きの販売価格で割るので、英語のmargin(利益率)です。フランスの仕入先が「un taux de marge de 100 %」と言えば、原価を倍にしているということで、英語でいえば利益率50%です。
言語が何であれ、利益率は付加価値税や売上税を除いた価格で計算してください。販売にかかる税は国に納めるために預かるもので、どれも利益ではありません。
卸売、小売、倍にする習慣
小売価格は、石けんを使う人が払う価格です。卸値は、店が自分の価格で売る石けんに対して、あなたに払う価格です。(委託販売、つまり石けんが売れたときにだけ店が支払い、手数料を差し引く売り方については、販売のガイドで扱います。)
よく言われる目安は、原価を倍にして卸値を出し、卸値を倍にして小売価格を出すというもので、小売価格は原価の四倍になります。利益率でいえば、利益率50%が二回続くことになり、一回は自分、もう一回は店の分です。これは二者が利益をどう分けるかについての取り決めです。石けんを作るのにいくらかかるか、誰がそれにいくら払うかについては何も語っておらず、うまくいくかどうかを決めるのはその二つの数字です。
例の石けんで二回倍にすると、卸値8.86、小売価格17.72になります。マーケットの買い手が、同じような石けんに6.00払うとしましょう。すると、この式による小売価格には手が届かず、6.00の半分で店に卸せば一個につき1.43の損になります。逆算すると、卸売に何が必要かがわかります。店が50%を取る一方で自分も利益率30%を確保するには、この石けんの小売価格は12.65以上でなければなりません。
Grossoはもっと大ざっぱなルールも挙げていますが、友人や親戚向けの「a ‘family’ price」(身内向けの価格)としてだけ示しています。材料費を倍にし、人件費を足し、包装費を足します。例の石けんでは2 × 1.18 + 2.25 + 0.60 = 5.21で、すべてを含めた原価4.43をわずか0.78上回るだけ、利益率15%です。倍にするのは材料だけで、間接費が除かれているからです。贈り物には向きますが、商売は支えられません。
つまり倍にする習慣は、どちらの方向にも判断を誤らせることがあります。原価が高ければ、誰も払わない価格になります。自分の時間を除いた原価からでは、よく見えても自分には何も入らない価格になります。代わりに、両端から価格を決めてください。原価が下限を決めます。上限は、自分の石けんのような石けんに客が払う額で、それはマーケットそのものと、隣で売られている石けんの価格から知ることができます。
原価を動かすもの
例の石けんの原価の半分は人件費でした。そして人件費こそ、規模を大きくすることがもっとも効く部分です。準備、計量、片付けなど、バッチの作業時間の多くは大きさにかかわらず同じだからです。三倍の大きさのバッチ、つまり油脂3 kgで30個できるバッチが、九十分ではなく二時間かかるとしましょう。同じ価格なら、原価は一個あたり4.43から3.05に下がり、人件費は一個あたり2.25から1.00に下がり、6.00で売れば利益率は26%から49%に上がります。それでも二回倍にすれば小売価格は12.22になり、6.00の半分で卸せば、まだ一個あたり0.05の損です。
原価計算ツールには、各材料のキログラムあたりの価格も表示されます。仕入先やパッケージの大きさを比べる公平な方法です。各行が材料費に占める割合も表示されるので、節約を追う価値がどこにあるかがわかります。例では、精油30 gのほうがココナッツオイル300 gより高くつきます。安く作るためのレシピは、この行から始まります。当サイトのスーパーの油で作る石けんはスーパーの棚にある油だけを使い、昔ながらのラード石けんは無香料です。無駄もここに入ります。失敗したバッチでも、ソーダアッシュで見た目が損なわれて売れない石けんでも、その一つ一つが、売れる石けんで負担しなければならない費用です。
価格から差し引かれる手数料
販売額に対する割合で請求される手数料は、価格とともに増えるので、そのまま利益率から差し引かれます。カード決済端末、オンラインマーケットプレイス、手数料を取る店は、どれもこの仕組みです。たとえばEtsyは、価格と、請求する送料・ギフト包装料の合計に対して6.5%の取引手数料、出品する商品一点ごとに0.20米ドルの出品手数料、そして国によって異なる決済手数料を請求します。6.00の石けんなら、取引手数料だけで0.39です。
Grossoが書いているように、多くのフェアやバザーも同じ仕組みで、出店料に加えて、または出店料の代わりに、売上の一部を取ります。その分はカード手数料と同じように価格から差し引かれます。フェアの出店料のような販売先の固定費は間接費です。そこで売れると見込む個数に割り振ってください。二十個売れるフェアと二百個売れるフェアでは、出店料の重みがまったく違います。
数字を正直に保つ
原価は少しずつ変わります。仕入先が価格を変えたらレシピの原価を計算し直し、間接費の割合は年に一度計算し直してください。原価計算ツールは入力した価格をブラウザに保存するので、一度価格を入れたオイルは、その後のすべてのバッチで使われます。Makerプランからは、原価計算が在庫と連動します。仕入れのたびにグラムあたりの平均原価が更新され、苛性ソーダ計算ツールから記録したバッチは、使った分を在庫から差し引きます。Businessプランでは、商品ページが各商品の一個あたりの原価をレシピと包装から計算し、小売価格と卸値での利益率を示します。
いくらで売るかを決めるのは、あくまで自分です。そしてその判断は、両方の数字を目の前にして下すべきです。販売のガイドではそれらの価格を使う販売先を、ラベル表示のガイドではどの販売先にも扱ってもらう前に石けんに表示しておくべきことを扱います。
試してみたいレシピ
すべてのレシピ出典
これらの出典に関する注記は英語のページにあります。各文書と照合したときの文言のまま掲載しています。
- How to set the right price for your products or services . Business Development Bank of Canada .
- Taux de marque . Bpifrance Création .
- Product Pricing: What Do I Charge? . Sarah Cornelisse, Penn State Extension , 2026.
- The Everything Soapmaking Book, 3rd edition . Alicia Grosso, Adams Media , 2013.
- Fees & Payments Policy . Etsy , 2026.