要点
- MPソープのソープベースは、溶けるようにグリセリン、ソルビトール、溶剤を加えた完成済みの石けんです。苛性ソーダは、買う前に使い切られています。
- 短時間ずつ加熱して溶かし、約71 °C(160 °F)以下に保ちます。それより熱いと沸騰し、焦げて、革のように硬くなります。
- 香料は完成した石けんの1〜3%で、その香料のIFRAカテゴリー9の上限を決して超えないようにします。着色にはマイカ、酸化物、顔料を使います。
- 消毒用アルコールを霧吹きでかけると、表面の泡が消え、層どうしがくっつきやすくなります。引火しやすいので、火から離してください。
- グリセリンが空気中の水分を引き寄せるので、石けんが汗をかきます。固まったらすぐにラップで包んでください。
このページの内容
MPソープは、自分で作った石けんを手にするいちばん早い方法です。ソープベースのブロックを買って溶かし、色と香りを加えて型に注げば、一時間後には型から出して使えます。ソープベースは、メーカーが油脂と苛性ソーダから作った本物の石けんなので、苛性ソーダを量る必要も、熟成させる必要もありません。腕の見せどころは、温度、少しの計算、そしてソープベースが受け付けるものと受け付けないものを知ることです。
ソープベースの中身
MPソープのソープベースも、始まりは普通の石けんです。油脂を水酸化ナトリウムで鹸化したものです。ラベルには、二通りのどちらかで書かれています。鍋に入れたもの(水、ココナッツオイル、水酸化ナトリウム)として書くか、それがなった石けん(ラウリン酸Na、ステアリン酸Na)として書くかです。普通の石けんと違うのは、きれいに溶けて光沢よく固まるよう、メーカーがあとから加えるものです。
- グリセリンとソルビトール:クリアベースを透明にするもの。
- プロピレングリコール:溶けやすくする溶剤。
- 多くの場合、ラウレス硫酸ナトリウムかラウリル硫酸ナトリウム:泡立ちを高める合成洗浄剤。
- ホワイトベースには酸化チタン:不透明にするためのもの。
これを土台に、仕入先はさまざまな種類のソープベースを販売しています。
| ソープベース | どんなものか | 向いている用途 |
|---|---|---|
| クリア | 透明。グリセリンとソルビトールが透明さを保つ | 濃い色、エンベッド(埋め込み)、見せたいボタニカル |
| ホワイト | 酸化チタン入り | パステルカラーと不透明な石けん |
| ヤギミルク、シア、アロエなど | その材料がすでに配合されている | ぜいたくな材料を石けんに入れる手軽な方法 |
| サスペンション | 粘度が高い | スクラブやボタニカルを均一に浮かせておく |
| ロースウェット(汗をかきにくいもの) | グリセリンが少ない | 湿気の多い部屋、コールドプロセスの石けんへのエンベッド |
| 合成洗浄剤不使用 | 合成界面活性剤を含まない | 石けん以外のものを入れたくない作り手 |
一般的なソープベースの種類。Fisher(2018)による。自分が使うソープベースの融点と、香料をどれだけ入れられるかは、そのソープベースのデータシートに書かれています。
鹸化はすでに終わっているので、MPソープは固まればすぐに使え、熟成は要りません。
焦がさずに溶かす
ソープベースを小さく均一な角切りにすると、むらなく溶けます。溶かし方は二通りです。
- 電子レンジで、耐熱の計量カップに入れ、30〜45秒ずつ加熱し、そのたびに混ぜます。ほとんどの作り手が使う方法です。
- ごく弱く沸いている湯を張った鍋の上で、耐熱の計量カップかボウルに入れて温めます(湯せん)。時間はかかりますが、様子を見やすい方法です。
ソープベースを鍋に入れて、直接コンロにかけないでください。上が溶ける前に底が焦げます。
ほとんどのソープベースは約49〜54 °C(120〜130 °F)で溶け始め、54〜60 °C(130〜140 °F)のあいだがもっとも注ぎやすい温度です。約71 °C(160 °F)を超えると沸騰して焦げ始め、焦げたソープベースはどろっと重くなり、ダマになって、革のように硬くなります。また、溶かし直すたびにソープベースの水分が少しずつ飛ぶので、何度も温め直したソープベースは計量カップの中で固くなります。古いもの、加熱しすぎたもの、何度も溶かし直したものは、変色したり、べたついたり、においが出たりすることがあります(Grosso)。加熱の合間には、計量カップにラップをかけておきます。
差し込み式の温度計(プローブ温度計)があると役に立ちます。赤外線温度計は表面しか測れず、表面はいちばん先に冷める部分です。
溶けたソープベースはやけどをするほど熱く、熱いろうのように肌にくっつきます。慎重に注ぎ、熱いあいだは、苛性ソーダが入っていなくても子どもを計量カップに近づけないでください。
溶かすソープベースの量
勘で型を満たそうとすると、足りなくなるか、計量カップに余りが出ます。また、間違った合計量をもとに計算した香料は、意図したより強くも弱くもなります。MPソープ計算ツールがこの計算をします。入力するのは次のものです。
- 型の容量。型に水を入れ、その水を量ります。水は一グラムが一ミリリットルです。くぼみが複数ある型では、すべてまとめて量ります。計算ツールは、ソープベースの密度(変更しない限り1.06 g/mL)でミリリットルをグラムに換算します。ほとんどのグリセリンソープベースは1.03〜1.10 g/mLで、自分のソープベースでくぼみ一つを満たして量れば、推測に頼らずにすみます。Grossoの大まかなルールでは、型に入る水が2カップ(473 ml)なら石けんは約一ポンドです。計算ツールの密度では501 gになります。
- または作りたい石けん。個数と、一個あたりの重さで指定します。
- 加えるもの。それぞれ完成した石けんに対する割合で入れます。香料、オイルまたはバター、クレイやスクラブなどの乾燥した添加物、着色料です。
- 計量カップに残る分の上乗せ。変更しない限り5%で、計量カップやスプーンに残る分です。
計算ツールは、香料を完成した石けんに対する割合として数えます。IFRAがそのように上限を定めていて、香料の仕入先の証明書もそう書かれているからです。多くのレシピがソープベースに対する割合で数えるので、同じ香料をソープベースに対する割合でも表示します。そして、香料や追加のオイルが石けんの3%を超えたとき、乾燥した添加物が5%を超えたときには警告を出します。これらは測定されたしきい値ではなく、ほとんどの作り手が使う実用上の上限ですが、それを超えると、ソープベースは汗をかいたり、柔らかくなったり、泡立ちが悪くなったりしがちです。
100 gの石けんを六個。香料2%、計量カップに残る分を5%上乗せすると、計算ツールは、ソープベースを617.4 g溶かし、香料を12 g量るように示します。
計算ツールを開く基本の作り方
- ソープベースを切って量る。小さく均一な角切りにし、計算ツールが示す量を量ります。
- ゆっくり溶かす。短時間ずつ加熱してはそのつど混ぜ、小さなかけらがいくつか残るくらいまで溶かします。残りは混ぜているうちに溶けます。沸騰させないでください。
- 着色料を混ぜる。空気を混ぜ込まないよう、静かに混ぜます。
- 香料を加える。ソープベースが約55 °C(130 °F)まで冷めたら混ぜ入れます。一瞬白く濁ることがありますが、20〜30秒混ぜ続ければ透明に戻ります。
- 注ぐ。計量カップの中でソープベースにとろみが出ていたら、先に数秒温めます。
- 表面にスプレーする。消毒用アルコールを軽く吹きかけると、表面に浮いてきた泡が消えます。
- 固めてから型から出す。ほとんどの石けんは約一時間で固くなります。取り出したときにブロックがまだ温かければ、切らずにそのまま冷まし切ります。早く切ると液状の中心が流れ出し、中が空洞の石けんになります(Grosso)。
- 包む。固くなったらすぐに、一個ずつラップで包みます(後述の「石けんが汗をかく理由」を参照)。
冷蔵庫に入れると早く固まりますが、冷えたまま出した石けんは、氷水を入れたグラスのように結露します。できるだけ室温で固めてください。
香り
MPソープに入れる香料は、完成した石けんの重さの1〜3%です。三パーセント、つまり454 g(1 lb)のバッチで約14 gが、一般的な出発点です。香りの強いものはもっと少なくてよく、ソープベースのデータシートに独自の上限が書かれていることもあります。香料そのものにも上限があります。香料のIFRA証明書には、洗い流す石けんのカテゴリーであるカテゴリー9で使える最大量が書かれていて、その値が3%より低くても、それを超えないようにします。
石けん用として売られていて、カテゴリー9を含む証明書のあるフレグランスオイルか、上限内の精油を使ってください。バニラを含む香料は、MPソープでも時間とともに石けんを茶色にします。香料・アレルゲンチェックは配合量を証明書と照らし合わせて計算し、香りづけのガイドでは選び方とブレンドを扱います。
色
MPソープには、ほかの石けんと同じ着色料が使えます。マイカ、酸化物、ウルトラマリン、顔料は、入れた場所にとどまる色になります。酸化物とクレイは、先に少量のグリセリンに混ぜておくと、粒が残らずに混ざります。水溶性の染料は透明でステンドグラスのような色になりますが、移動します。層やエンベッドでは時間とともに色が隣ににじみ、食用色素の多くは光で退色します(Grosso)。
クリアベースでは色が深く、ガラスのような色調になり、ホワイトベースでは同じ色がパステルカラーになります。コールドプロセスの強アルカリ性の石けん生地では色が変わる着色料も、MPソープではたいてい色が保たれます。ソープベースは、遊離した苛性ソーダが残っていない完成済みの石けんだからです。使用量は着色のガイドにあります。
泡、層、アルコールスプレー
注いだばかりの石けんに消毒用アルコール(イソプロピルアルコール)を軽く吹きかけると、表面の泡が消えます。同じスプレーで、層どうしもくっつきやすくなります。二層目を注ぐときは、一層目の表面にしっかりした膜ができて、まだ温かいうちにアルコールを吹きかけ、次の層を約52〜57 °C(125〜135 °F)で注ぎます。それより熱いと下の層に溶け込みます。膜ができる前に注いだり、アルコールを省いたりすると、あとで層がはがれることがあります。
すべての層に同じブランドのソープベースを使ってください。ソープベースによって固まる速さや縮む速さが違い、ブランドの違う層ははがれやすくなります。
エンベッドとホイップソープ
透明ですぐに固まるので、MPソープはもっとも組み立てやすい石けんです。色をつけた石けんの削りくず、カール、かたまりを、透明な石けんに閉じ込めることができます。上から注ぐ前にそれらにアルコールを吹きかけてなじませ、輪郭がくっきり残るよう、温度範囲の低いほうで注ぎます。上から注ぐために溶かすソープベースの量は、完成した石けんの重さからエンベッドの重さを引いて求めます。計算ツールでは、石けんをその軽い重さで入力してください。いっぱいの型に入れたものは浮き上がりやすいので、Grossoは二段階で埋め込みます。型に半分まで注いで膜ができるのを待ち、埋め込むものにアルコールを吹きかけて膜の上から差し込み、その層が固まったら、もう一度スプレーして残りを満たします。
MPソープのピースは、コールドプロセスの石けんにも入れられます。その場合はロースウェットのソープベースを使い、コールドプロセスのローフがジェル化しないようにします。ジェル化の熱でピースが溶けることがあるからです。詳しくはエンベッドのガイドを参照してください。
ホイップしたMPソープは、カップケーキ型の石けんにのせるフロスティングや、絞り出す飾りになります。ホワイトベース113 g(4 oz)を、食器用洗剤ではない本物の液体石けん30 mL(大さじ2)と一緒に約65 °C(150 °F)まで溶かし、背の高い容器に入れてハンドミキサーで泡立てます。泡立って、いったん落ち着き、それからとろみがつきます。とろみは泡立てではなく冷えることでつくので、固くなりすぎたら数秒温めて泡立て直せます。
ソープベースが受け付けないもの
ソープベースは、溶ける、固まる、泡立つという性質が特定のバランスになるよう処方されていて、余分なものを入れる余地はあまりありません。
オイルとバター。コールドプロセスの石けんなら、スプーン一杯のオイルはたっぷりの量です。MPソープでは約3%を超えると、柔らかく、べたつき、泡立ちの遅い石けんになります。シアバターやヤギミルクを入れたいなら、それがすでに入ったソープベースを買ってください。
生の材料。生の果物や野菜のピューレ、粉末でない生のミルク、摘みたてのハーブや花は、石けんの中でカビが生えることがあります。ボタニカルは、完全に乾いたものだけを使ってください。
お茶として煮出せるもの、たとえばコーヒーかす、ミントの葉、多くの花びらは、まわりの石けんに色がにじみ出します。先に煮出してから乾かし直すと、色の大部分が抜けます。
重い添加物。スクラブや乾燥したボタニカルは、さらさらのソープベースでは沈みます。注ぐ前に、ソープベースが約40〜43 °C(105〜110 °F)まで冷めてとろみが出始めるまで混ぜ続けるか、サスペンションベースを使ってください。
石けんが汗をかく理由
湿気の多い日にMPソープを包まずに置いておくと、すぐに細かい水滴で覆われます。これがグリセリンの結露です。グリセリンには吸湿性があり、空気中の水分を引き寄せるので、グリセリンの多いソープベースは表面にその水分を集めます。害はありませんが、見た目が悪く、石けんがべたつき、紙のラベルがだめになります。
グリセリンの結露。包んでいない石けんは空気中の水分を引き寄せ、包んだ石けんはそうなっていません。
固まったらすぐに一個ずつラップで包み、乾燥した場所に保管してください。グリセリンの少ないロースウェットのソープベースは、汗をかきにくくなります。水滴を拭き取ればしばらくはもちますが、また出てきます。
販売する場合
買ったソープベースは材料の一つです。その成分リストを、自分が加えたものすべてと一緒にラベルに記載します。米国では、一つ注意点があります。FDAが製品を石けんとして扱うのは、その大部分が脂肪酸の塩で、その塩が洗浄を担っている場合だけです。ラウレス硫酸ナトリウムのような合成洗浄剤が泡の一部を担うソープベースはこの定義に当てはまらず、FDAはそうした洗浄料を化粧品として規制します。EUでは、香料アレルゲンが洗い流す製品の0.01%を超えたら、成分リストに名称を記載しなければなりません。アレルゲンチェックが仕入先の申告書からそれを計算し、そのほかのことはラベル表示のガイドで扱います。
ソープベースでできる以上のことをしたくなったら、次の段階は、自分で作った石けんを溶かし直すリバッチか、はじめてのコールドプロセスです。
出典
これらの出典に関する注記は英語のページにあります。各文書と照合したときの文言のまま掲載しています。
- The Complete Photo Guide to Soap Making . David Fisher, Creative Publishing International , 2018.
- Soap Crafting . Anne-Marie Faiola, Storey Publishing , 2013.
- The Everything Soapmaking Book, 3rd edition . Alicia Grosso, Adams Media , 2013.
- Guidance for the use of IFRA Standards, 51st Amendment . International Fragrance Association (IFRA) , 2023.
- NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards: Isopropyl alcohol . US National Institute for Occupational Safety and Health .
- Glycerol (CID 753) . PubChem, US National Library of Medicine .
- Is It a Cosmetic, a Drug, or Both? (Or Is It Soap?) . US Food and Drug Administration , 2024.
- Commission Regulation (EU) 2023/1545, amending Annex III to Regulation (EC) No 1223/2009 . Official Journal of the European Union , 2023.