要点
- スワールにはゆるい生地が必要です。乳化した段階かライトトレースで混ぜるのをやめ、ゆるさが続くレシピを使います。液体油が主体で、30〜33%の苛性ソーダ水溶液、32〜38 °C、試したことのある香料です。
- 苛性ソーダ水溶液と油脂を合わせる前に、すべてを準備します。着色料を分散させ、生地の分け方を決め、道具と型を手の届くところに置きます。
- 道具を通すのは一、二回です。コントラストは明るい色と暗い色の対比で生まれ、スワールの回数を増やしても生まれません。
- 色が濁るのは、スワールのしすぎ、混ざると茶色になる色、にじむ染料が原因です。
- 途中で生地にとろみがついたら、デザインを変えます。スプーンスワールと凹凸のあるトップには濃い生地が向きます。
このページの内容
スワールとは、二色以上の生地を、まだ流れるうちに互いの中で動かすことです。以下の技法はどれもそのための別々の方法で、失敗のしかたはどれも同じです。デザインが仕上がる前に生地にとろみがついてしまうのです。ですから作業は、色を流す前から始まります。生地をゆるく保つレシピと段取りです。
スワールにゆるい生地が必要な理由
ゆるい生地に流し込んだ生地は、中に沈み込んで広がり、箸を通しても後ろに溝が残りません。濃い生地ではそのどれも起きません。流した色はひも状に表面に乗ったままになり、道具はかたまりを引きずって筋を残し、閉じ込められた空気がカットした石けんの穴になります。流れる範囲の中では、濃さが模様を決めます。Alicia Grossoは、ゆるい生地では細かいスワールに、濃い生地では大きな色のかたまりになるとしており、ベースより濃くして流した色はベースを突き抜けて沈むことに気づいています。深さも関係します。型が深いほど模様を底まで通すのが難しくなるので、彼女はスワールでは生地の深さを5〜7.5 cm(2〜3 in)にしています。
ほとんどのスワールに向くのはライトトレース、つまり薄いカスタードのようで、かすかな線が数秒残る状態です。ドロップスワールはさらにゆるく、乳化したばかりの生地を使います。例外はミディアムトレースが向くスプーンスワールで、バッチにとろみがついてしまったときに切り替えるデザインになるのはこのためです。段階の見分け方はトレースのガイドで説明しています。
ゆるさが続くレシピ
トレースの速さは、作り始める前にほとんど決まっています。決めるのは油脂、水、温度、香料です。
油脂。液体のハイオレイック油(オリーブ、米ぬか、キャノーラ、ハイオレイックひまわり)を主体にしたレシピは、トレースがゆっくりです。パーム油とひまし油はトレースを速めます。Fisherは、自分のふだんのレシピはこれらのせいで細かいスワールには速すぎると言い、トレースの遅いレシピではラードとキャノーラ油に置き換えています。オリーブオイルが遅いのは普通のグレードだけです。FaiolaもCavitchもポマスはトレースが速いとしており、Cavitchは色の濃い石けんになるとも付け加えているので、デザイン用のバッチには使わないでください。
水。水が少ないほどトレースは速くなるので、デザイン用のバッチで水分カットをするのは向きません。30〜33%の苛性ソーダ水溶液なら時間に余裕ができます。約31%より薄いと、完全にジェル化した白いベースにグリセリンリバーが出ることがあるので、二酸化チタンのベースでは31〜33%にとどめるか、ローフを完全にはジェル化させないようにします(グリセリンリバーについては石けんの色付けで説明しています)。
温度。生地は、ある程度までは冷たいほどトレースが遅くなります。多くの基本レシピが使う38〜43 °C(100〜110 °F)より少し低い、32〜38 °C(90〜100 °F)前後が、溶かした油脂が澄んでいるかぎり下のレシピに合います。それよりずっと冷たいと硬い油脂が固まり始め、同じように確実に生地にとろみがつきます(偽トレース)。Faiolaは、温度が高すぎることと同様に低すぎることもトレースの加速の原因に挙げています。数値については本によって意見が分かれます。Grossoは、生地を小分けにすると作業中に冷めるので、スワール用のバッチは41〜43 °C(105〜110 °F)で合わせます。『Pure Soapmaking』のFaiolaのデザイン用レシピは43〜49 °C(110〜120 °F)です。低いほうの数値は液体油が主体の当サイトのレシピに合い、バターを含むレシピは、ピッチャーの中で固まり始めないだけの温かさを保つ必要があります。Grossoが一つはっきり言っているのは、熱い苛性ソーダ水溶液で固い油脂を溶かす室温法は、「水を減らすことと組み合わせると、スワールの大失敗のもと」だということです。
混ぜ方。スティックブレンダーは生地が乳化するまで、短く断続的に使うだけにして、あとは泡立て器で仕上げます。余分に混ぜた一秒一秒が、デザインの時間を奪います。
香料。トレースを加速させる香料は、バッチが急激に固まる最も多い原因なので、試していない香料をスワールに使うことは絶対にしないでください。まず小さな無地のバッチで試します。問題なくふるまうとわかっていれば、Faiolaがリニアスワールでしているように、苛性ソーダ水溶液より先に油脂に加えておけます。問題を起こす香料なら、色を分ける前にそれがわかります。詳しくは石けんの香りづけとトレースの加速、急激な固化、ライシングにあります。
添加物。クレイは生地にすぐとろみをつけ、砂糖、はちみつ、ミルクは生地の温度を上げてトレースを速めます。クレイの色は最後に流す分に入れるか、スプーンスワールのためにとっておきます。
25 × 9 cmのローフ型に深さ6 cmまで入れる量の、スワール向きのレシピです。
| 材料 | 油脂に対する割合 | 重さ |
|---|---|---|
| オリーブオイル | 45% | 405 g |
| ココナッツオイル | 25% | 225 g |
| ハイオレイックひまわり油 | 20% | 180 g |
| シアバター | 10% | 90 g |
| 水酸化ナトリウム | 125.3 g | |
| 水 | 278.8 g |
スーパーファット5%、31%の苛性ソーダ水溶液。生地は約1,304 g、香料を油脂の3%入れると1,331 gです。数値は苛性ソーダ計算ツールによります。
これは当サイトの三色のハンガースワール石けんの配合で、パーム不使用の定番石けんの仲間ですが、液体油が多く、ひまし油を入れていません。液体油の多いレシピは硬いレシピより固まるのが遅いので、型から出す前に一、二日長く型に入れておいてください。
スワール向きのゆっくりしたレシピ。油脂900 gを31%の苛性ソーダ水溶液で作ると、水酸化ナトリウム125.3 gと水278.8 gが必要です。
計算ツールで開く苛性ソーダ水溶液と油脂を合わせる前に
苛性ソーダ水溶液を入れたら、生地は時間との勝負です。それ以外のことはすべて先に済ませます。
- 着色料を分散させる。色付けのガイドにあるように、それぞれのカップで着色料を分散させ、使う直前に混ぜます。
- 分け方を決める。それぞれの色にどれだけ生地を使うかを決めて書き留めます。計算のしかたは色付けのガイドにあります。色と色の間に白か淡い色のベースをはさむと、色が濁りません。
- 容器を並べる。線を描くように流すには注ぎ口のとがったピッチャー、細い線や点にはスクイズボトルを、色ごとに一つずつ用意します。
- 道具と型を準備する。箸か竹串、へら、デザインで使うならハンガーツールや仕切りを用意し、型には紙などを敷いて水平に置き、手の届くところに置きます。
- 時間を見込む。五色のデザインは流すのに十分間かかることもあります。それがレシピの許す時間より長ければ、色を減らします。
生地を分けたら、Faiolaは香料をピッチャーに分け、明るい色から暗い色の順に泡立て器で混ぜ込みます。とろみがつき始めたピッチャーは、流す直前に泡立て器で軽く混ぜます。
インザポット・スワール
最も簡単なスワールです。色を鍋に戻し、型に流す動きがほとんどの仕事をします。当サイトのインディゴのインザポットスワール石けんで試してみてください。
- 一部に色を付ける。ライトトレースで、生地の約三分の一を、分散させた着色料の入ったピッチャーに注ぎ、泡立て器で混ぜます。何色も使う場合は小分けにした複数の生地に色を付け、鍋に残った分を白くします。
- 高いところから鍋に戻す。色を付けた生地を鍋の三、四か所に戻します。一部は高いところから注いで底まで沈め、一部は低いところから注いで上のほうにとどめます。
- 一、二回かき混ぜる。へらか箸で、鍋の中に一、二回円を描きます。それ以上は混ぜません。
- 型に流す。一か所から流すか、型に沿って動かしながら流します。流す動きがスワールをさらに広げます。
- 表面を仕上げる。お好みで、表面から1 cmの深さに箸を通します。
ドロップスワール
高いところからベースに色を落として底まで沈め、石けんの上から下まで筋を残すスワールです。当サイトの青と金のドロップスワール石けんがその例です。
- 生地はトレースの手前にとどめる。乳化した段階で混ぜるのをやめます。色は落ちたときに沈まなければなりません。
- ベースを流す。ベースの色の約半分を型に流します。
- 高いところから色を落とす。ピッチャーを型の約30 cm(12 in)上に持ち、型の長さに沿って一本の線か、ジグザグに流します。高さが色をベースの中へ押し下げます。
- 交互に流す。次の色を一本流し、次にベースを少し流し、生地がなくなるまで繰り返します。
- そのままにするか、一回だけスワールする。このままで完成ですが、型の長さに沿って中央に箸を一回通してもかまいません。
一回に流す量、ピッチャーを持つ高さ、生地のゆるさで筋の大きさが変わるので、何をしたかを記録しておきます。
ドロップスワール:約30 cmの高さから注いだゆるい青い生地が、白いベースの中に沈んでいきます。
ハンガースワール
重ねた色の中で針金のループを上下に動かすスワールです。道具は手作りで、どの石けんにもループが一列に並びます。
- 道具を作る。針金のハンガーか、被覆された銅線を曲げて平らなループにします。下の辺が型の内側の幅にわたるようにし、片側に縁より高く持ち手を立てます。太い針金や、針金にかぶせた水槽用のチューブは生地を多く動かし、大胆なスワールになります。
- 色を層にして流す。ライトトレースで、型がいっぱいになるまで色を交互に薄い層にして流します。
- ループを差し込む。型の一方の端でループを押し下げ、幅の方向に底に平らに置きます。
- 型に沿ってスワールする。ループを表面のすぐ下まで持ち上げて底まで押し戻し、毎回指一本分ずつ進めながら、反対の端まで続けます。Faiolaは約1 cmずつ、Grossoは約2.5 cm(1 in)ずつ進めます。間隔を大きくするとループも大きくなります。Fisherは、ほかに試せる模様を三つ挙げています。水平のジグザグ、突っ込んですくい上げる動き、カールです。ループは最後まで表面より下に保ちます。
- 端で取り出す。反対の端でだけループを引き上げ、お好みで、表面から1 cmの深さに箸を通します。
仕切りを使って流すデザインでは、Faiolaは流す前に空の型にハンガーツールを入れておきます。こうすると、あとから押し込んだときに残る引きずった跡を避けられます。
カットした石けんに見えるハンガースワール:水平の層がループに引き上げられています。
スプーンスワール
色の生地をスプーンで型に落とし、表面で引き合わせるスワールです。ここで紹介するどのスワールよりも濃い生地が向きます。
- 生地をミディアムトレースまで混ぜる。落とした生地が形を保つ必要があります。
- 色を交互にスプーンで入れる。色ごとに大きなスプーンを一本使い、それぞれの色を順に、型の二、三か所に、大きいものも小さいものも落とします。
- 入れながら落ち着かせる。生地が約2.5 cm(1 in)たまるたびに、型を作業台に打ちつけます。
- 垂らして引く。各色の残りを表面に垂らし、箸を深さ1 cmで幅の方向にジグザグに動かしながら、型の長さに沿って進めます。あるいは、スプーンの背で表面を押し上げて角を立てます。回数を増やすほど凹凸が増え、色も混ざります。
クレイはどのみち生地にとろみをつけるので、クレイで付けた色はこのスワールに向きます。
台湾スワール
縦に区切った溝に色を並べて流し、横と縦に引くスワールです。当サイトのチャコールとローズの台湾スワール石けんがその例です。近い仲間のマントラスワールは、代わりに八の字を描きます。
- 型を仕切る。ローフ型の長さにぴったり合い、型より少し高い厚紙の帯を三枚切り、四つの溝を作ります。
- 溝に同時に流す。ライトトレースで、手伝いの人に仕切りを支えてもらいながら、色をそれぞれの溝に同時に流します。型を打ちつけます。
- 仕切りを抜く。ゆっくりまっすぐ上に引き抜きます。
- 横にスワールする。一方の端で箸を底まで差し込み、幅の方向に細かいジグザグで左右に動かしながら、反対の端まで進めます。
- 縦にスワールする。今度は逆の向きでなぞります。型の長さに沿って大きなジグザグを描きながら、幅の方向に進めます。
- 模様が見えるように切る。模様は深さ全体に通っています。ふつうに切った石けんにはその断面が見えます。表面と平行に水平に切ると上から見たときのスワールが見え、Soap QueenとFisherはこうしたデザインをこの切り方で切っています。
カラムポア(柱を使った流し込み)
型の中に立てたブロックの上から色を流し、それぞれの色を輪のように広げます。ブロックを抜くと、輪が折り重なります。幅の広いスラブ型で最もよく映えます。
- 柱を立てる。約5 × 5 × 15 cm(2 × 2 × 6 in)のブロックを型の中央に縦に立て、動かないように重しをし、上端が型の縁より上に出るようにします。
- 三、四つに分けた生地に色を付ける。ライトトレースで行います。
- 柱の上に流す。ゆっくり三つ数える間、最初の色をブロックの上に流し、次に別の色を流して、生地がなくなるまで色を順番に繰り返します。流した生地はブロックを伝って落ち、型全体に広がります。
- 柱を抜く。ブロックをゆっくりまっすぐ引き上げます。生地がすき間を埋め、輪を折り重ねて不規則な模様にします。型を打ちつけます。
- お好みで線を加える。Faiolaはスクイズボトルで表面に白い線を引き、表面だけに道具を通します。
表面のマイカのフェザリング
石けん全体を通すスワールではなく仕上げの技法で、どんなデザインでも、表面に引いたマイカの線を羽根の模様にします。当サイトのマイカのフェザートップ石けんがその例です。
- マイカオイルを作る。マイカ小さじ1を軽い油大さじ1に混ぜ、垂らせるくらいのゆるさにします。
- 表面のタイミングを見計らう。竹串で触れたときに表面がまだ動く、ライトトレースからミディアムトレースの状態でなければなりません。ゆるすぎるとマイカが沈み、濃すぎると羽根の模様になりません。
- 線か点を置く。スポイトか小さじで、マイカオイルを表面に数本の線か点として垂らします。数滴で十分です。
- 羽根の模様にする。表面から数ミリだけに竹串を通し、線を横切るようにループやS字を描くと、線が引き伸ばされて羽根の模様になります。
- 軽くスプレーする。模様を描き終えたら、ソーダアッシュ対策にアルコールを軽く吹きかけてもかまいません。
乾いたマイカも使えます。茶こしでふるい、表面にそっと息を吹きかけて広げます。Faiolaは、乾いたままふりかけたマイカにはアルコールをスプレーしません。べちゃっとしてしまうからです。
タイミングと、うまくいかないとき
| 見えるもの | 原因 | 次回の対策 |
|---|---|---|
| 色がひも状に表面に乗った。カットした石けんに穴がある | 流すときの生地が濃すぎた。空気が閉じ込められた | 乳化した段階で混ぜるのをやめる。型を打ちつける。へらに当てて流す |
| 色が濁って混ざった | 回数が多すぎる、または混ざると茶色になる色(赤と緑、オレンジと青、紫と黄) | 一、二回にとどめる。強い色の間に白か淡い色をはさむ |
| 色の境目がやわらかくぼやける | 染料系の着色料のにじみ | くっきりした線には酸化物、ウルトラマリン、マイカを使う |
| デザインの途中で生地が固まった | トレースを加速させる香料、混ぜすぎ、生地が熱すぎるか冷たすぎる | 香料を試す。ブレンダーを回す回数を減らす。32〜38 °Cで作る。スプーンスワールに切り替える |
| 中心が濃く、端が淡い | 部分ジェル化 | 全体をジェル化させるか、まったくさせない(ジェル化) |
| 白いベースに半透明の筋 | グリセリンリバー | 31〜33%の苛性ソーダ水溶液にするか、完全にはジェル化させない |
| 表面に白い粉 | ソーダアッシュ | アルコールをスプレーする。ソーダアッシュを参照 |
原因と対策はFaiola、Fisher、Cableによります。色の混ざり方はふつうの色彩理論です。
スワールを模様として見せるのはコントラストです。同じくらいの濃さの色は、どれだけうまくスワールしても、一歩離れると平板に見えます。濃い色と白を並べれば、デザインに見えます。迷ったら、色の数も回数も減らしてください。
試してみたいレシピ
すべてのレシピ出典
これらの出典に関する注記は英語のページにあります。各文書と照合したときの文言のまま掲載しています。
- Soap Crafting: Step-by-Step Techniques for Making 31 Unique Cold-Process Soaps . Anne-Marie Faiola, Storey Publishing , 2013.
- The Complete Photo Guide to Soap Making . David Fisher, Creative Publishing International , 2018.
- The Natural Soap Making Book for Beginners . Kelly Cable, Althea Press , 2017.
- The Everything Soapmaking Book, 3rd edition . Alicia Grosso, Adams Media , 2013.
- Pure Soapmaking . Anne-Marie Faiola, Storey Publishing , 2016.
- The Natural Soap Book . Susan Miller Cavitch, Storey Publishing , 1995.
- Natural Colorant Taiwan Swirl . Soap Queen (Bramble Berry) .
- Soap Challenge: Mica Topped Cold Process . Soap Queen (Bramble Berry) .
- Chemistry 101: Glycerin Rivers . Wholesale Supplies Plus , 2025.